これって英語でなんて言うんですか?の罠
まあ、自分が年中言っているやつだけどね
スクールでは結局こう聞かれたら教えざるを得ないんだけど、単語単位で聞かれた場合は、即答は避けて、丁寧に説明するようにしている。
「日本語を考える→”単語ごとに”英語に置き換える」
と言う作業をやっているうちは英語はあるところからほとんど上達しない。
「日本語を考える→まるっと英語に置き換える」(*)
をしてほしい。もちろんゴールは
「もやっと考えて言語化しないうちに、まるっと英語に置き換える」
要するに母国語の日本語を発する時のやり方にとことん近づけることなんだけど。ただし、
”これは不可能と割り切ってもいい”
20代以降だと、海外に住むなりして完全に日本語から隔絶されたとしてもほぼ無理なんじゃないか。10年かけてどうか?というくらいな気がする。隔絶されても、当分の間は先に浮かぶのは日本語だろうから、これを訓練で排除することはできるけどね。
まあ、そこまでにならなくても十分流暢な英語が話せる。だからまずは(*)ができればいいということだ。
通訳という職業がありますね
彼らは基本的にこれをやっている
ある言語から別の言語へ、一瞬で変換する。情報を損なうことなく、しかも非常に自然な変換結果にするわけだ。
もちろん、その難易度はあまりにも高いよね。でも、やっている人々がいるわけだから、その簡易版くらいにはなれるはず。それで十分、なんてったって、「自分で考えた日本語」を変換するんだから、その時点で通訳よりははるかに楽だ。
ちなみに通訳の場合は、情報を損なうことなく、というのが重要だけど、似たようなことをする”翻訳”の場合は詩的表現や雰囲気を重視する。こちらはリアルタイム変換ではないからかなり別モノだけど、このスキルも少しほしい。
会話においては、1文で全てを言い切る必要はなく、むしろ言わない方がいい。相手に聞かせたり、補完させたりすることで会話が盛り上がるからだ。会話というのは単なる情報の伝達ではない。だから、通訳のスキルと翻訳のスキルのハイブリッドであることがいいな、と思う
難しい話になってきたが、ここで「これって英語でなんていうんですか〜?」の簡単な例を
欧米では成人してまだ親と住んでいるってのは、通常はなくて、なんか問題ありそう…だから、これを英語で聞く、というシチュエーションは考え難く、フレーズとしては This is a pen. 並みに使われる可能性が低いと確信しているけど 笑
A: 祥子さんて、どこ住んでるの?
B: 吉祥寺だよ
A: 実家?
B: そう
これ訳してみよう。
A: Where do you live, Shoko?
B: Kichijoji.
A: ココ <—————-
B: Ya.
「実家って英語でなんていうんですか〜?」と聞こえてきそう。でも、Yoshiの生徒さんは慣れてるので、そう聞いてはこない。
「単語が分からなかったら、違う言い方考えてね〜」
と言われることを知ってるから。単語を教わるのはその後。実際、似たようなことは言えるけど、先ほどの欧米の事情から、日本語の「実家」にピタリと合う言葉はない。
A: Where do you live, Shoko?
B: In Kichijoji.
A: With your parents?
B: Ya.
もちろん、You’re living with your parents? でもOK
しかも、この「実家」という言葉は状況によって全然違う意味を持つ。
A: 祥子さん、先週いなかったね。
B: あ、実家
この「実家」はさっきの「実家」とは全然違う。この場合だと欧米でもあり得る状況になる
A: I didn’t see you last week, Shoko?
B: Well, was in my hometown.
「実家」という建物そのものを語っているのではなく、日本語ではこのように「生まれ故郷」を「実家」ということもあるよね。親のいる「建物」には寄らなくても、結婚式とかで、その街に帰ることもある。
「実家」という建物を英語で無理やりいうとすれば、そのまんま
my parent’s house
とかになるんだろうけど。これ普通は使わないよ。不動産とか建て替えとか、そういうときにしかね。
Yoshi