コロナ禍でも自由な街ロンドンに馴染んでゆく
チャイナタウンの中華料理屋で予定以上に満腹となり、キングスクロス付近のホテルまで歩いて帰ることにする。
前回も書いたが、お店は日本とさほど変わらない感染対策をしていたので、不安はなかった。それもあってか、色々と緊張が解けてきているのが自分でもわかる。ただ、これはコロナ禍に限らず、どんな海外渡航でも同じことだ。
さて、街ゆく人の殆どはマスクをしていない。マスク着用者は全くいないわけではないが、いわゆる「意識高い系」のような?女性がたまにしている感じ。学生のグループなどはもちろんノーマスクで、ゲラゲラ笑い、唾を飛ばし合いながらもつれ合うように歩いていく、という、まさに「コロナどこ行った?」という感じである。コロナで学生生活を謳歌できない日本の大学生は可愛そうだなあ、とシンプルに思った。
ちなみにこれは2021年11月、オミクロン前の話で、当時UKは実質何の制限もなしで感染者数は1日6万人ほど。そしてこれを書いている今の日本はガチガチの対策を施して感染者は1日8万人。当時、日本では感染者はほぼなかったため
「ロンドンって怖え〜」
と感じていたが、今の東京の方がよほど怖い。まあ、デルタとオミクロンという違いはあるにしてもだ…。
大英博物館のあたりを通る。ゲートから覗くと来館者は少ないように感じた。付近を歩いている人も多くはないのだが、まだなるべく人のいないところを選びたかったので、人の多そうなブルームズベリーの方ではなく、北に向かう。
ロンドン大学のあたりを進むと、そこの学生がたくさんいる。この辺は広場などに屋台も出ていたりして、雰囲気がいい。マスクをしている学生は全くいない。自由でいいな。とりあえず、近くに来ないでさえくれれば、清々しい気分で見ていられる。
ホテルに近くなってきたので、水などを求めるため小さな商店に入る。
店員さんも、もちろんマスクはしていない。
なんか、”マスク警察”のようになってきた。
しかし、それを咎める気持ちではなく、だんだん楽しくなってきたのだ。「ええじゃないか」という感情である。
普通にひと言ふた言、世間話などもする。
ホテルに帰り着き、寒いので自分は部屋にこもって読書。他のメンバー2名は散策に出たようだ。
夜、メシに行きましょう、ということでキングスクロスの付近へくり出す。
飲食店の立ち並ぶ通りを1往復し、インド料理屋に入ることにした。堅い選択である。
ほぼ満席。流行っている店のようだ。
客はもちろん誰もマスクをしていない。
店員も誰もマスクをしていない。
酒も入るので、賑やかなテーブルもある。
インド人のおっちゃんのウェイターもよく喋る。店はうるさいから声はでかい。確実に大量の唾が飛んでいる。うおお..
ちなみに、知っている人は知っていると思うが、ロンドンのインド料理屋はだいたいテーブルが小さく席も窮屈で、隣のテーブルとの距離もやたら近い。
あれは、店を大きく見せるための作戦なのではないか、とずっと思っている。
とにかく、なんか満席感が半端なく、本日1日で取得してきたこのフリーダムな感じのロンドンへの免疫が、あっさりと敗北したかのように、じわじわ恐怖が湧いてきた。
外はマイナス気温なので、暖房ガンガンで、換気も悪い。
「三密」とまではいかないだろうが、日本の感覚がまだ抜け切らない自分とってはなかなかの状況である。斯くなる上は酔っ払ってしまうしかない。インド料理屋定番のビール「コブラ」の大瓶をあっという間に飲んでしまい、落ち着いた。だいたい、明後日にはライブをやってわざわざ三密を作り出し、感染を応援するような立場の俺がビビってしまっては何とも申し訳ない話であった。
口のうまいウェイターにのせられて、あれもこれも頼んだが、料理は案の定、超大盛りばかりで、大変なことに。全く学習しない我々である。
飛び込みで入ったが、なかなか良い店だった。
自分の隣のテーブルに来た地元のお姉さんと談笑したり、俺もなかなかこのコロナバージョンのロンドンに慣れてきたではないか。
長い1日が終わろうとしている。
明日は列車でニューカッスルに移動だ。事前情報では、地方はさらにコロナに頓着していないようだが。
どうなることか。
tbc