コロナ禍の英国でついにGIGを敢行する。
というわけで、やっと演奏日となった。2021年11月26日(金)である。
いきなりワンポイントレッスンをしてしまうが、日付の書き方について。
英国式では
26/11/21 と、日本とはまるで逆から書く(年号は4桁の場合もある)。
これを日本式に読んでしまうと2026年11月22日になってしまうので、注意が必要だ。
普通は「あれ?そんな先って?」と思うから大丈夫かと思うけど。
そして、アメリカ式はまた違う。
11/26/21 となり、mm/dd/yy の順である。
自分のように、ビジネスの場でも英語を使うならば必須の知識である。英語、というより文化を理解することが非常に重要。
さて
iPhoneの天気を見ると、陽は出ているのに気温はマイナス。
それでも他の2名は街中をぶらつきに出たようだ。
自分は部屋でギターの調整と、軽く練習をして午前中を過ごしたが、とメッセージが入ったので外へ出た。
恐ろしく寒い。風が痛い。
知り合いのやっている店まで行こうと思ったが、いとも簡単に心が折れ、さほど遠くないパブで彼らと落ち合う。しばしボンヤリしたのち、中華のデリで各自メシを買ってホテルに帰った。
上海焼きそばみたいなのを買ったのだが、これが非常にうまかった。
ニューカッスルでは美味しい店に当たる率が割と高い気がする。ケルト民族のスコットランドに近いからだろうか。
それにしても、UKに来てから毎日必ず中華を食べている。UKというより、香港に来ている感じがしなくもない。
夜になったので、会場へ向かう。
雪が降っている。ていうか、めちゃくちゃ降っているぞ…。
会場に着く頃にはかなりの積雪になっていた。うおー、大丈夫か?
ところで、今回のツアーは元は2020年3月のものの一部で、延期に延期を重ねたものである。1つは日本語で言う「フェス」であり、我々がヘッドライナーなのである。彼らは日本人である我々を「同胞」として見てくれているのだ(誇り高き英国人にとって普通のことではない)。そういうわけで、我々もそれに応えるべく、コロナ禍ではあるが日常を取り戻しているUKに来たということだ。
とはいえ、やはり帰国に支障が出るのも困る。今思えば、あの時、かなり英国に馴染んでいたとはいえ、やはり緊張はあった。
なので自分は、バンドのファンページ上で、前代未聞のアナウンスを事前に行っていた。
つまり、
「悪いけど、ステージ降りたら俺はマスクをするよ。ハグもしないし握手もしない。めちゃイヤな奴に見えることだろうけど、今回はそうさせてくれ。みんな誠にすまぬ!」
という感じだ。
マスク大嫌い、フィジカルコンタクトがコミュニケーションの基本中の基本である彼らの文化に対して喧嘩を売っているようなものだ。これをアナウンスするのは相当悩んだのだが、思い切った。
そのアナウンスに対するファンの皆さんの反応は非常に暖かいもので、大人の対応であった。安心したし、さらにファンが、そして英国が好きになった。
GIGは大変盛り上がった。
しかし、大雪のため、来ることができなかった人がかなりの数いたらしい。演奏を始める頃には20cmくらい積もっていたのだ。
いつもはモッズコート(英語では Mod Parka という)を羽織り、颯爽とスクーターでやってくるその筋ではちょいと有名な友人のDaveも車で来たくらいだ。
後で思えば、あんな雪の中、あれだけの人数が来てくれたというのがむしろ尋常ではない。ありがたいことだ。
演奏終了後、撤収していると、一番最初にUKに来た時からの友人の Vince がスマホを見て舌打ちをしている。
Oh shite man!
What happened mate?
大雪のため、2時間ほど前に電車が全て止まり、もはやタクシーなども全くつかまらないそうだ。
No way man…
I know…
雪はさらに降りかたを激しくしてきた。風がグイーングイーンと吹いている。
おおおお、となると我々はどうやって帰ればいいの????
早い時間なら、知り合いがたくさんいたので乗せてもらえたと思うが、今残っているメンバーは機材の運搬などで車に余裕がない。
コロナどころではない。
大ピンチじゃん…
tbc