コロナ禍の飲食店事情inロンドン
「英国のメシはまずい」という人がいる。
自分は、他人の文化をとやかくいうのはお行儀が悪い、と思っている。
「東京のうどんはつゆが黒くてダメや」という大阪の人々がいるが、あれは全く品がない。池波正太郎だってそう言っていた。
自分で思っている分には勝手にすればよいが、人前で言う必要はない。
しかし
「英国のメシはまずい」
の真偽については誰もが興味を持つようであり。生の声が求められている(気がする)。
ともあれ、これに対する自分の見解を述べる前に、これはまず言葉の使い方として非常によろしくない、ということを指摘せねばならない。
日本語の「英国」の定義が曖昧である。さらに、日本人は「英国(イギリス)、UK、グレートブリテン…」などの言葉を正確に捉えていないことが多い。誰もが地理の授業で寝ていたとも思えないので、教える教師側が既にわかってないんじゃないか?とさえ思える。あと、サッカーとかラグビーになると、なんだかしらんけど、イングランドに加えてスコットランドやウェールズがみんな別チームで出てくる、というのも日本人にとっては混乱の元なのだろう。
「英国」を「UK」と考えると(これが普通)「スコットランド」「ウェールズ」「北アイルランド」も入ってくるわけだが(ここがわかっていない)、彼らは基本的にイングランドと民族が違う。ケルト系であり、色々と繊細である。メシはまずくない。フィッシュ&チップスをスコットランドの街、例えばグラスゴーなんかで食べると、非常にうまい。メシではないが、最近クラフトビールの王者として日本はもちろん、世界で大人気のBrewdogというのはスコットランドのブルワリーであり、展開しているお店のフードなど、かなり美味しい。
さて、日本語的にいうと「英国(イギリス)」を「イングランド」と考えることもできなくはない。全くいい加減な話だが、この辺も学校でちゃんと教えないから仕方ない。
色々書いたが、そういうわけで、「英国のメシはまずい」つまり「イングランドのメシはまずい」ということになると、どうだろうか。
うむむ…まあねぇ
冒頭にも書いたが、他人の文化をとやかくいうつもりはない。
ここは好みの問題ということにしておこう。
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というわけで、Sohoの街を歩き回っているのだが、自分が目指しているのは
「中華」「インドカレー」「ケバブ」「タイ」「ベトナム」
”ロンドンまず間違いない5大料理”である。
念の為書いておくが、暗にディスっているわけではない。生活の知恵である。
最初はせっかくだから珍しい店に入ろうと思ってSohoを歩いていたのだが、あまりの空腹に余裕がなくなってきた。もう飢餓状態が一刻を争うので、アジア料理店が集中しているチャイナタウン(サンフランシスコや横浜のように立派なものではない)に向かう。
カジュアルな中華料理店が営業中であるのを発見した。助かった。
席について周りを見ると、客はほぼ全員中国系の留学生と思われる。これなら味も保証されたようなもので一安心。スタッフももちろん中華系である。
スタッフはみんなマスクをしており、日本のレストランと同じ雰囲気である。お客の方も食べ終わるとすぐマスクをしたり、大声でゲラゲラやっているようなのもいないので、安全地帯に逃げ込んできた感がある。
若い子が多い店だったので、案の定超大盛りの食事が運ばれてきた。こういう時は
What a big portion!
とでも叫んで驚いておこう。
しかし、空腹だったためしっかり平らげた。食の細い、我がベーシストも巨大な鶏肉の料理を完食していた。彼はだいたいいつも意に反して巨大な料理を頼んでしまい、後悔するのである。
ここでは食べ物にも満足した上に
「中華系の店であれば感染のリスクは低い」
ということを学習することができた。大きな収穫である。
そして、この後の道中、数件の中華系の店に行ったが、それは全く正しかったのである。
今回のツアーで、外食する機会は20回近くに及んだと思うが、コロナ(当時はデルタ株)に感染しないで無事帰国できたのには、こういった小さな配慮があったことも見逃せないと思っている。
tbc